『台風の中で』

9月21日、台風15号の上陸により、この日の授業は全て変更になりました。本部はホームページとメールで連絡。私は、出勤と同時に、その日授業を予定していたご家庭と講師へ改めて連絡をしていきました。 ほぼ連絡を入れ終わった15時半頃、ドアが開きました。生徒が自習にやってきたのです。 近所にお住まいのNさんでした。

Nさん:「先生、今日台風で学校休みになったから、塾で自習して来いって親から言われて来ました。」

この時間には、もう雨風が強くなっていて、そんな中せっかく来てもらったのに、すぐ帰らせるのもかわいそうな気がしました。私はお母様に電話で確認し、台風の様子を見て、迎えに来て下さるということで、自習することを認めました。 自分でやることを持ってきていたので、すぐ席について自習を始めたNさん。その姿勢は立派でした。質問に来て聞いてくれる内容も良く、2時間ほどでテスト範囲の半分まで終えました。

Nさん:「先生、今日すっごい進んだ。」

私: 「そうだね。“こんな台風の中で、マジメに勉強している自分って偉い!”ってプラスに考えると、どんどんヤル気が出るよね。自分が何かすごいことをやっているように感じない?」

Nさん:「はい、さっき、『自分は偉い』と思っていました。」

強風が窓を打ちつける中、私達は負けないくらいの声で笑い合いました。 やがて台風のピークが過ぎ、帰ることにしたNさんは、「家に帰っても後2時間はやります!」と、私に宣言して教室を出て行ったのです。

どんなきっかけで生徒のヤル気に火がつくのか?セオリーはありません。しかし、その生徒が努力を始めた瞬間、その場に居合わせる私達大人が、認め、褒めてあげることの大切さには、疑いようがありません。 生徒の表情・姿勢が変わるこの瞬間に立ち会える幸せは、私の仕事の特権だと、Nさんに教えてもらった気がします。

ただ、この台風で、尊い命が奪われたことを思うと気持は複雑です。今はただ、目の前の事に真剣に取り組むしかないと、自分に言い聞かせていました。

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