『 真剣に取り組む 』

『 真剣に取り組む 』

 
 
先日、塾生の通う、とある高校の体育祭に足を運んでまいりました。

その生徒は中高一貫の高校3年生なので、今回の体育祭は彼にとって学園生活の締めくくり行事です。
開催日が近づくにつれ、様々な機材・物品を背負いながら汗だくで登校してきた日も増えてきました。
そんな様子を横目で見ながら、私は彼の体育祭の成功を願っておりました。

本番当日。
メインイベントとなる高校3年生の「棒倒し」を目当てに、私は昼過ぎに現地へ向かいました。
体育祭と言えば紅白の二色に分かれることが一般的ですが、生徒数の多いこの学校では、八つのチームに分かれていました。
彼の所属するチームは、高校1年生の競技で優勝していました。
「さあ、後輩達の流れを引き継いで、棒倒しでも優勝だ!」と私は心の中で声を上げます。

高校3年生の出場する棒倒しは、トーナメント戦です。
負ければそこで「青春の学園生活」は幕を閉じ、大学受験へまっしぐらの「余生」を過ごす訳です。
鬼気迫る雰囲気の中で、一つずつ試合は進んでいきます。
勝ったチームは、出場者・観戦者ともに大歓声を上げて勝利に酔いしれます。
一方、負けたチームは、涙を流しながら応援席に戻り、地面に頭を付けてチームメイトに詫びます。
観戦者はその姿に共感し、悔しさに押しつぶされて起き上がれない出場者たちを、共に頬を濡らしながら抱え起こします。
彼らはまさに、人生を懸けてこの行事に挑んでいたのでしょう。

聞くところによると、この学校の体育祭は先生方の関与はほとんどなく、運営の全権を生徒に任せる方針をとっているそうです。
生徒のみで運営しているとは思えないほどの完成度の高さ、情熱、そして約2000人の生徒が一丸となる強固な信頼関係。
チームワークには知性が不可欠ですから、授業や書物からでは学べない知恵をこういった行事から学びとってゆくのでしょう。

今回のテーマは「真剣に取り組む」という事。
先行き不透明な昨今においても、子供たちに伝えるべき普遍的な答えの一つなのではないでしょうか。

結局、塾生の所属するチームは準決勝で敗退します。
悔しそうな顔で応援席に戻る彼はその時に何を思ったのでしょうか。
その姿は、私自身に彼を大学合格へ導く覚悟を決めさせるものにもなりました。
彼は、今日も高田馬場校に通って受験勉強に励んでいます。


 

 

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