『夏期特訓合宿』

今回は、つい先日、夏期特訓合宿から帰ってきたある生徒をご紹介させていただきます。

彼は中学2年から稲門学舎に通っている男の子です。ここでは彼を「T君」と呼ばせていただきます。彼は中2の正月特訓合宿に参加しましたが、その過密スケジュールのあまり、帰宅後に体調を崩してしまいました。その結果「合宿にはもう二度と行きたくない」という気持ちになってしまっていました。

数ヶ月が経ち、2015年夏、受験生となったT君は6月に保護者の方と私と三人で夏休みの計画を練っています。そこで私は「昨年は大変だったけどもう一度合宿に参加しよう」と呼びかけます。案の定、彼は首を立てに振りません。その日はそのまま終了しました。

一方その頃、彼の通っている中学の同級生が、複数人で夏期特訓合宿に参加することを前向きに検討していました。その子達はみな初めて合宿に参加するので「どんな合宿なんだろう?」「一日に12時間も勉強できるの?」と様々な憶測を飛び交わせています。自然と彼らに「T君は昨年の冬合宿に参加したらしい」という情報が伝わり、皆がT君のもとに集います。「ねえ、稲門の合宿はどうだった?大変だった?」と休み時間中にT君を囲み輪になる場面を、数回私は見かけました。T君は「合宿はすっごく勉強させられるよ。本当に大変だよ!」と得意気です。T君の武勇伝(?)に聞き入る皆は「どうする?合宿本当に行く?」と談義に花を咲かせます。

結果これが功を奏し、T君の合宿に対する後ろ向きだった気持ちを前に向けることとなりました。「T君は中2で稲門合宿から帰還した先駆者」となっていたのです。しかしこれだけではT君の参加意思は固まりません。もうひと押し必要と判断した私は、T君を囲むメンバーの中心人物に事情を話しました。「実はT君は昨年の合宿があまりに大変で、今回の参加をしぶっているんだ。背中を押してあげてくれないか」と伝えます。保護者の方からも「うちの子が合宿の参加を悩んでいるようです」と電話があり、話をしました。その結果、ついに彼は合宿の申込書を教室に持ってきたのです。

—–そして合宿が終了—–

合宿では最終日に感想文を書くことになっておりますが、T君はそこに次のようにつづっています(多少、私の判断で抜粋と編集させていただいております)。

「僕はみんなが行くからその気になり参加しました。周りのやる気がすごくて、負けてたまるかと、最初は無理な目標を立てました。しかし合宿が始まると、授業がとても楽しく、目標を達成することが出来ました。この合宿で学んだことは、自分の力です。僕は家ではほとんど勉強しませんので、自分は合宿でも出来ないと思っていました。しかし想像以上の力を発揮できて驚いています。社会と理科の暗記試験があり「無理です」「もう無理」と先生に言っていましたが、やってみると、全部完璧に覚えていました。僕は今までやる気がなかっただけで、やれば出来るんだと実感しました。ありがとうございました。」

T君がこの合宿で受け取ってくれたものは、私たちが提供したいもののまさにど真ん中にある要素でした。このような感想文が、私たち教師側にも大きなやる気とやりがいを与えてくれていることを、T君はすぐには知れないかもしれません。T君、途中の葛藤シナリオを経てこの合宿にご参加頂きありがとうございました。冬合宿もがんばりましょう。

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