『見えない成果』

今回は2学期に入って目にした印象的な出来事のご紹介に乗せて、ひとつのメッセージをお届け出来ればと思います。話題の中心は、ある中3の受験生です。

小学生から稲門に通っているその子は、これまで継続して良い成績をおさめてきました。しかし、中学3年になると周囲の生徒も受験に向けて努力をし始めたため、一生懸命勉強していることに変わりはないのですが、これまで通りに結果を出すことが難しくなっている現実に直面しました。

夏期講習では授業と自習にほぼ毎日足を運びました(これは稲門生の模範です!)。2学期が始まると学校で夏休み明けの復習テストがありました。そこで予想を下回る(従来を下回る)点数を取ってしまったのです。本来の力が発揮できなかったのか、ミスを多くしたのか、本人はひどく落ち込みます。「夏はあれだけがんばったのに…」と。

その約一週間後に、さらに学校で数学の計算テストがありました。ただの計算テストではありません。なんと全ての問題が高校入試の過去問のみで構成されています。この時期にそのようなテストは生徒には劇薬です。夏に過去問に取り組んだ量によって結果に大きく差がつくものとも考えられます。ほとんどの子が点数を取れないでしょうから、結果を目の当たりにして発奮するか、または大きく落ち込むか、二つに一つでしょう。答案返却が怖いです。この子の場合は、夏にとりわけ過去問に特化した演習を行ったわけではありませんでした。数日後に答案が返ってきます。すると、なんとその子は学年で一番の点数を取っていたのです。その子の点数は7割以上で、その子を除く全員が5割以下の点数でした。それにとどまらず、その子はクラスの面前で、先生から直接お褒めの言葉を頂くこととなりました。

二学期に入ると、学校でも稲門でもテストが増えます。強調したいのは、実力は点数と異なる所の水面下で蓄積されているということです。これからは点数の浮き沈みが気持ちの浮き沈みになり、成績のことで家族と言い合いをすることもあるでしょう。また勉強以外でも学校で様々な出来事があります。入試のその日まで決して楽でない時間を過ごすことになるでしょう。しかし努力の成果は見えないところで着々と積み重なっており、想定していない場面で良い結果となって皆さんの前に訪れます。今回は高校受験の話題ですが、中学受験も大学受験も、さらには受験生でなくても同じです。

努力の見返りは想定外のタイミングで必ず訪れる。今の点数に納得がいかず辛い気持ちになることがあっても、机に向かってじっと耐えてただひたすら“その時”が来るのを待ってください。

がんばれ受験生!

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