『塾の役割』
先日、手続きに来られた生徒さんと印象的な会話がありました。今月はその男子高校生にまつわるストーリーです。
彼は中学3年生のときに高校受験で稲門に通っていました。
現在は高校3年生になり、大学受験を見据えています。
最初の面談は、保護者様と本人と私の3人です。志望校についての話題があり、その際、彼は「法学部」を目指すといいました。
次に、手続きのために二度目の面談がありました。
そこでも保護者様と生徒と私の3人がおりました。
再び志望校の話題になりましたが、この時に彼は「留学をしたい」といいました。
初回の面談と二度目の面談で、方向性が少し異なるように感じられます。
そこで、私は保護者様にお聞きしました。
「(法学部志望だったのに留学志望に変わったことを)御存知でしたか?」
すると、保護者様は「初めて聞いた!」とのことです。
なぜ、彼は家族にすら言っていない夢を塾の面談で話したのでしょうか。
ここに、稲門学舎の役割があると考えます。
彼が留学を考えたきっかけを探るために、いろいろな質問を投げかけて彼の思いを引き出しました。
そこで聞かせてもらった彼の言葉から感じ取ったことは、曽祖父(ひいおじいさま)が外資系の業界トップで働いたことが大きかったようです。しかし、彼は日常でなかなか家族に海外の夢を言い出せなかったのでしょう。また、彼が偉大なひいおじいさまの背中を追いかけたいという夢を、家族に言うことが恥ずかしかったのかもしれません。
彼が稲門学舎に戻ってきたのは、教科書と問題集に向かい合う場の選択に加え、夢へ向けて勇気ある一歩踏み出すことだったのです。この日の会話の最後に、私は「今日は帰ったら家族会議だね」と締めくくりました。
大学受験は目的ではなく手段であり、稲門学舎の仕事は生徒の目標・夢をかなえるアドバイザー、パートナーであるということです。
教育の仕事は、生徒の未来を切り拓くこと。
今年も生徒の未来を創造する一年にします。