『ティーチャー』

いまから3年ほど前。
私が王子校で勤務していた時期に、タカハシという男子生徒(高3)がいました。
当時を振り返ると、私は彼から色々なことを学ばせてもらったような気がします。

真っ直ぐで、常に何かを吸収しようと貪欲で、教育学部に行って「将来は教師になりたい!」という明確な目標を持っています。その眼はまるで、甲子園に出てくる高校球児のように輝いていました。

高校野球が人の心を魅了するのは、全員がひたむきなプレーをするから。アマチュアですから、うまいかどうかは関係ありません。本気で取り組むからこそ、感動が生まれるのです。ルールや規則を守れずに、その場をやり過ごしたとしても、何ら意味がないのです。

 ・手を使ってサッカーする
 ・カンニングをして受験に合格する

そんなことをしたって、誰からも評価されませんよね。
「いまの自分は100%で振り切っているかどうか、本気の姿勢で取り組んでいるかどうか」
そこが一番大事なのです。

冒頭に出てきたタカハシ。実は、いま稲門学舎で教師として活躍しているのですが、彼の【夏季特訓合宿】でのスピーチに、私は感銘を受けました。
「教える立場のボクが、生徒からたくさんのことを教わりました」
その眼は、あの当時の輝きと何ら変わっていませんでした。

私は学生にとっての勉強も、社会人にとっての仕事も、本質は変わらないと考えています。

『ワーク・ルールズ!』(東洋経済新報社)

この本の中に、“宿題”という項目が出てきます。
少し長くなりますが、引用してみます。

「組織やチームの学習効果を上げる方法のひとつは、学習するスキルを細かい要素に分けて、具体的なフィードバックを即座に返すことだ。しかし実際には、広範囲のスキルを短時間で教えようとする会社が多すぎる。さらに、受講者がどのくらいトレーニングを気に入ったかではなく、トレーニングがもたらした結果を測定するほうが、効果的なプログラムかどうかが(時間はかかるが)明確に分かる」

「最善の学習方法は、“教える”ことだ」

この分厚くて難解な本を読破することが、私の休暇中の楽しみのひとつでもあります。

そして、“子どもたちから教わる”という仕事の素晴らしさを追求するために、
自分も学び続けたいと思います。

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