『親はずるい?』
皆さんこんにちは
猛暑が続いていますが、お元気でしょうか?
塾の教室長の仕事の80%いや、90%はコミュニケーション、つまり会話だと言えます。
授業も、一斉授業とは違い個別なので、生徒にわからないところを話しながら整理をさせる、または出来た問題であっても説明させてみて、本当に理解しているか確かめることが授業の中心になっているので、やはり会話と言えます。
図を描きながら、より少ない言葉で生徒に伝えることを私は日々考えています。
「聞く」ことはある意味「話す」「考える」より難しいので、たくさん私が話して生徒に「聞かせる」よりも、少ない言葉で生徒に考えさせ、発見させた方が早く理解してもらえるからです。面談においても、生徒が自分の状況を話しながら、考えて、なるべく自分で整理できるように、よく質問をします。そういう面談の時に、生徒が私に届けてくれた言葉がありました。
「先生、親ってずるくない?」
「どうしてそう思うの?」
「普段は『ああしろ』『こうしろ』って命令ばっかりするくせに、高校選ぶ大事な場面に限って、『自分で考えろ』なんて都合よくない?そういう時こそさ、もっと寄り添って一緒に考えてほしいってこっちは思うわけじゃん。それなのに、『私が行くんじゃないから自分で考えて先生に伝えて来い』なんてさ・・・そりゃわかるけどさ・・・ずるいよ」
「そうだね。そうかもしれないね」
「でしょ?それでさ、高校名挙げたら、『何でそこなの?』って明らかに嫌な顔して聞いてくるわけ。『自分で選べって言ったのそっちじゃん!』って感じだよ。もう嫌だ。・・・決めた。しばらく私は考えない!高校選びは放棄します!!』
「そう。じゃあ・・・私とお母さんであなたの受験する高校決めようか?」
「・・・それは待って。」
「考えたくないんでしょ?」
「う~、今はね!」
「じゃあ、こういうのはどう?夏休みに高校を見に行ってもらわなきゃいけないから、私とお母さんで、いくつか高校を絞ってみる。その高校の名前をいくつか言われたときに、文句は言わない。おとなしく行く。いい?」
「うん・・・」
「それで、いくつか言われたとき、『あれ?○○高校は?行かないの?』って思う高校があったら、それは絶対伝えてね。もしかしたら、それがあなたの隠れた志望校なのかもしれない」
「なるほど。」
「いい?私とお母さんが考えて絞った高校を、あなたはいくつか見て『選ぶ』ことになる。その途中で、『どうして和田先生やお母さんはこの高校を候補に入れたのか?』を常に考えながら見学するようにしてね。そうすると発見するものが多くなる」
「うん。わかった」
「大事なのは考えることなんだけど、何も情報がなかったり、比較できるものがないと誰だって考えたり、選べないんだよ。お母さんだって、大人だってそこは同じなの。無責任なことは言えないから、当人であるあなたが考えなさいって言うのはそういう理由だよ」
「うん。でもさ、それだったら、そう言ってくれればいいじゃん」
「そうだね。でも親としては、あなたから『この高校に行きたい!』って言ってくれた方が・・・やっぱり嬉しいの。それが本音。だから、それをギリギリまで待ちたいんだよ」
「何それ!?そんなことなの?」
「100%じゃないかもしれないけど、きっとそう。私も娘がいて、実際そう思うから」
「へぇ~~。嬉しいんだ、それが」
「うん、嬉しいものなの。
いい?高校の一覧や偏差値表だけ見ていても絶対に決められないからね。私とお母さんで絞った高校のHPを見て、制服見て、場所見て、悪くなければ見に行ってきてね。
それで比較して、それぞれの違いを発見して、お気に入りの高校を探す。そして『お母さん、私、この高校に行きたい!』って言うんだよ。そしたら、きっとお母さん喜ぶよ」
「う~、喜ぶかな?たぶん『そう、やっと決まった』くらいしか言わないね」
「顔には出さなくても、口ではそう言っても、心の中では喜んでいるよ。きっとね」
「うん。ていうかさ、・・・和田先生は、何でそんなにいろんなことがわかるの?大人になったらそんなにいろんなことがわかるようになるの?」
「いやいや、わかっているふりしているだけかも(笑)」
「え、マジ?嘘なの?」
「嘘じゃないよ。ただ一番ズルいのは、お母さんでもあなたでもなく、私ってことだね」
「ん??よくわかんない(笑)」
・・・この会話の数日後、6校ほど見学に行く高校が決まりました。
夏休み中に、彼女がいろんな発見をしてくれることを願っています。