『成長と変化』
4月は、進学・進級といった学校生活が“変化”する月です。
教室に来た生徒たちが、新しい学校や新しいクラスについて、いろいろと話を聞かせてくれます。
「入る部活はもう決めている。○○部に入る!」
「新しいクラスは最悪なの。知っている人が一人もいないんだもん」
「(学校が)家から遠くなって、帰りが遅くなって・・・疲れる」
慣れない環境から来る不安からか、余りポジティブな声が聞こえてこないのが特徴ですね。
それでも、本人たちが楽しそうに話していれば、それほど心配はいりません。
なぜ心配いらないのかと言えば、普段見えないところで生徒たちは着実に成長していくことを、私(関谷)は知っているからです。
今年、こんなことがありました。
小学校から中学校に進学した生徒たちを悩ますことの一つに、「定期テスト」の存在があります。(中には、『定期テストって何?』とその存在をまだ知らない生徒も一部います)
私立中学・公立中学を問わず、「算数」と呼ばれていた教科は「数学」へと名前が変わり、さらに教科としての「英語」が加わります。
また、高校受験・(附属高校への)内部進学に必要な成績を取るために、定期テストは重要な位置を占めます。そのため、小学校時代よりも短いスパンで具体的な目標を設定し、学習に取り組んでいくことが求められます。
私はこういったことを噛み砕いて、もう少しわかりやすい言葉で生徒たちに説明をします。
その時のある生徒との会話です。
関谷「中学校では定期テストが始まるんだ。そこで、まずは目標点数を決めよう。数学は・・・80点!」
生徒「・・・80点!? わかった。じゃあ80点!」
ずいぶんと簡単に目標点数が決まりました(実際、私もずいぶんとあっさりと決まってしまい、大丈夫かな?という印象を持ったのですが・・・)。ところが、私の心配とは裏腹に、なんと彼はその次の週から、教室へ自習をしに来る日を自ら決めて来るようになったのです。小学校時代は、あんなに自習に来ることを拒んでいたのに、中学生になり、目標を持たせた途端、すんなりと自習を始めるようになりました。その短期間の彼の成長と変化に、私自身驚かされました。中学校という新しい環境が、彼の成長を大きく後押ししたのだと思います。実に頼もしく感じた瞬間でした。
進学・進級という節目では、その成長が顕著に現れやすいのですが、実は、かような変化は教室の中で年中頻繁に起こっています。
どんなに小さな成長・変化であっても、普段から生徒たちに目を向け、それを承認していきたいと年度の始まりに新たな気持ちにさせられたワンシーンでした。