『個別指導教師の力』
最近、教師と生徒の関係の中で少し想定外の出来事が起きました。
今年の2月に高校受験を終えて卒業したある男子生徒(S君)から5月末に連絡を頂きました。また稲門学舎で勉強を始めたいとの内容です。一度塾から離れた生徒が戻ってくるのは地域密着の学習塾において珍しいケースではございません。ただS君に関しましては卒業してから戻ってくるまでの期間が他の生徒に比べて比較的早かったと感じたので、ひとつS君に質問をしてみました。
「高校受験が終わっても塾を休まずにそのまま続けていれば良かったのに」
すると、S君から次のような返答がありました。
「僕は高校受験が終わっても稲門学舎を続けたいと思っていました。しかし担当の森脇先生からは『高校に入ったらまず自分の力のみでやってみなさい。独力で取り組んでみて、それでも難しいと感じたら、稲門学舎に戻ってきなさい』と言われました。だから、中間テストが終わるまで一人で勉強していました」
卒業して一時的に塾生ではなくなったあとも、以前の担当教師の言いつけを守って生活をしていたのです。
学校の卒業にしても塾の卒業にしても、その他なんらかの習い事の卒業にしても、卒業直後はお世話になった環境を離れるのを名残惜しく感じます。しかし人は良くも悪くも環境に適応してしまうもので、時間がたつにつれてその名残惜しさも消えてしまうことが少なくありません。ところが彼は稲門を卒業した2月末から再スタートの5月末までの約3ヶ月間、稲門学舎に戻ることを一人で考え続けていました。
私にとっては個別指導教師の持つ影響力を再発見させられた出来事であり、さらに、生徒と教師の力を引き出す教室プロデューサーとして勇気付けられる出来事でもありました。
ちなみにS君は今も森脇先生の週二回の指導を受けるために稲門学舎に足を運んでくれています。
S君、森脇先生、ありがとうございます。