『大怪我しない転び方』
去る6月8日、個別指導塾 稲門学舎・4校舎合同で行われる、【教師研修会】が開催されました。私も研修会の“講師”として教壇に立たせていただいたのですが、講師陣は若手からベテランまで100名以上。その前でのプレゼンテーションというのは、何度経験しても緊張するものです。それでも、「緊張するのは、しっかり準備してきた証拠だ」なんて生徒には言い続けているものの、さっき飲んだばかりの水を口に含んでみたり、リップクリームを重ねて塗ったりと、忙(せわ)しない出番直前でした。「緊張すら楽しんでやる!」と室長レター5月号で豪語した気持ちはどこへ行ったのか?と、そんな自分が可笑しく思えるくらい、内実は“そわそわ”しながら、ポーカーフェイスを気取っていたのであります(笑)
研修会の目的は、出席者、つまり生徒を担当する“先生”の行動を変え、習慣を変えること。その結果として、今まで以上に生徒の成績を上げることです。もちろん独り善がりになってしまってはいけませんが、少なくとも自分なりには、エンターテイナー精神を持って、準備段階から取り組むことができたのではないかと思っています。果たして人の心、言い換えるなら“先生”の心を動かすことができたのか否か?それは、彼らの行動がどう変化したのかを、“室長”の立場として、今後継続して具(つぶさ)に観察していかなければなりません。
毎年の恒例で、この研修会の最後には「表彰式」が執り行われます。これは、生徒の学力向上に顕著な成果を上げた先生を表彰し、その労をねぎらうとともに、喜びを全員で共有する。という式典ですが、やはり「いくつになっても、賞を貰うというのは嬉しいものなんだなぁ…」ということを、受賞者の清々しいスピーチが物語っていました。
3名のスピーチを聞いていた折に、ふと、幼少の頃私が習っていたスノーボートの先生(インストラクター)のことが頭を過(よぎ)りました。その先生から口酸っぱく言われたことを、思い出します。
「ワタル、もっとチャレンジしろ。でも今の転び方は危険。
コケるなら頭からではなく、絶対に尻(ケツ)から行け」
そんな熱血漢です。また、こんな指導も受けました。
「上手くなってきたときが、一番怪我しやすい。調子に乗るな」
と。お調子者のワタル少年にしてみれば、なんとも耳の痛い助言でした(笑)
人は失敗を経験することでしか、本当の意味で成長することはできないのではないか?当時を振り返ってみて、あらためてそう感じます。ですから、チャレンジ精神を認めてあげる。そこで敢えて失敗を経験させることも、指導のひとつなのかもしれません。これは、インストラクターから受講生への“instruct”(教える/指図する/知らせる)の話しですが、たとえば、スポーツ競技における監督から選手への“coach”(技術指導をする)や、会社では上司から部下への“direct”(指導する/監督する/演出する)さらには、教師から生徒への“teach”(教える/教授する/訓練する)にも通ずるものがあるのではないかと思います。
大怪我しない転び方を教えてくれたインストラクターが、私の理想とする教師像とシンクロした瞬間でした。成長が期待されるような状況・境遇に、うまく導いてあげられるような大きな人間。私も、そういった指導・監督が出来る室長を目指します。
最後に皆様へご報告です。この式典において、王子校が「優秀教室賞」を受賞いたしました。この賞に驕ることなく、これからも謙虚な気持ちで、教職員一丸となって日々精進して参ります。皆様には、心より御礼申し上げます。本当に、ありがとうございました!