『塾は、間違いから学ぶ場所』
春、新しい学年の始まりです。
小学生が中学生に、中学生が高校生に、当然のことなのですが、毎年新鮮ですね。
さて、「ケアレスミスが多い」という相談をよくいただきますが、実はこれほど教師を悩ませる相談はありません。なぜなら、一見すると簡単そうに見えるその解決策は、生徒によって千差万別だからです。セオリーでは解決しません。
数学の計算ミスだけを例にとってみても、
① 単なる類題の演習不足。
② 中1レベルの正負や分数の計算が危ういことを放置してきた。
③ 自信がなく、テストになると不安が高まりミスが増える。
…、いろいろあります。
特に問題なのは③のケースです。授業ではよくできている。宿題も頑張る。でもテストではなかなか80点を超えない。真面目な子に多いようです。
“間違えてはいけない”と、意識し過ぎてはいませんか?
わからない問題は、あまり自分で考えずに「教えて!」と、すぐ聞いてきませんか?
こういうタイプの子どもは、「間違えること」自体を避けているので、本番の不安感の中で、自信を持った途中式が書ききれてないことが多くあります。その結果、合っていたのに正負のくくり方のミスなどをしてしまったり、書き写し間違えをしてしまったりするのです。
私たちが目指す“成績を上げる授業”は、いかに授業中に“質の高い間違えをしてもらえるか”が一つのポイントとなります。つまり、間違えを恐れず、自分の考えでしっかり解き終えて、その上で間違えを知り、悔しい思いをして、「二度としないぞ!」と思って解き直してもらえるかが大事だということです。
このプロセスを、踏みたがらない子どもが、最近多いように感じます。
しかし、人は、間違えや失敗から学ぶことの方が圧倒的に多いのです。
テストで間違えるよりも、まずは塾で間違えてもらう。それも、本番のテストで出てきそうな問題、ひっかかりそうなところを、是非ひっかかってもらいたいのです。
そして間違えをした時に、「これは良い間違えをしたね。素晴らしい。」と声をかけることができれば、その間違えは子どもの中で、「失敗」ではなく「経験」になってくれます。
社会に出ても同じですから、是非、稲門学舎の生徒達には、そのことをしっかり学んでほしいと強く思っています。