『 個別指導の強み 』
先日、高校受験生向けの模試(Vもぎ)が実施され、大勢の中学3年生が受験しました。そんな中で、ちょっと印象に残る結果を残した生徒がいました。今回はその生徒と模試の結果について話す中で、個別指導の強みを再確認した出来事を紹介します。
その生徒は、今年2月の模試では5科平均で「偏差値47」でした。それが、今回の模試では「偏差値54」までUPしました。2月以降、彼は授業がある日以外も毎日教室へ自習に来て、コツコツ勉強しておりました。その姿を見ていた私は、今回の結果を見てとても嬉しく思いました。特に、理科の偏差値は10も上がっており、前日まで理科のテキストを黙々と説いていた成果が出て、さぞかし本人も喜んでいるだろうと声をかけました。ところが、本人は今一つ満足していない様子。その理由は、理科とは逆に偏差値が3下がってしまった「社会」の成績が思わしくなかったためです。
模試が終わった後の『スタ・サタ』(理科・社会の無料授業)での、生徒との遣り取りです。
関谷「歴史が苦手な理由って何だろう?」
生徒「例えば、日清戦争の賠償金は『清が日本に支払った』ではなく『日本は清から賠償金を受け取った』となっててさ。なんかそれが納得できない」
関谷「世界から見た日本ではなく、日本から見た世界っていう視点になっているのが腑に落ちないってこと?」
生徒「うん。日本視点だと憶え辛い。世界視点の方が自分には分かりやすい」
関谷「そうか、すごいね。十分理解できてるよ。そうしたら、あとはどうすれば憶えやすくなるか、一緒に考えてみよう」
勉強の仕方にも個性があります。教え方も、一辺倒では効果的ではありません。
適切な指導をするには、生徒の理解度とともに、生徒の“考え方の癖”を掌握することが大切です。
件の生徒の場合、偏差値が下がった社会は決して苦手教科なわけではなく、単に勉強の仕方がわからなかったということでした。覚えづらくさせている原因ではありましたが、自分なりの観点を持っていることにも大変感心しました。
生徒の習熟度や理解度は、偏差値だけでは判断できません。こちらから生徒に質問を投げかけて、生徒自身の口から説明させないと正確には測りにくいものです。
これこそ生徒との距離が近い個別指導の強みです。そのことを改めて感じた一件でした。
(まだ模擬試験を受けたことがない、という受験生へ)
模試はただ偏差値や合否判定を出すだけのものではありません。数字に表れる結果以外の「理解度」や「習熟度」をチェックする上で、受験にはとても大切なツールです。なので、食わず嫌いをせず、積極的に受けてくださいね(笑)。