『やる気に火をつける』
いよいよ入試本番が近づいてきて、受験生たちの表情もいくぶんか引き締まり、勉強時間は日増しに増えています。
ただ、志望校も決まり、あとは勉強をするだけという段階になっても、まだなかなか腰が上がらない生徒も中にはいます。今回は、そんな生徒の“やる気”に火がついたケースを二つ紹介します。
一つ目のケース。
A君は、「受験勉強しろと言われても、何をすればいいのかわからない」が口癖でした。
彼にしてみれば、自分の課題が明確になっておらず、ただ闇雲に勉強をさせられる事が辛く感じていたのでしょう。私は面談の席で、彼に次のように提案をしました。
「このテキストを終わらせれば、入試の得点が10点は上がる!」
「その後は続けて、過去問演習をやろう!」
「これを(いついつ)までに完了させるためには、自習時間が(これだけ)必要だよね」
すると、「先生は鬼だ」と言いながらもその場ではしぶしぶ承諾してくれて、その日以後、私と約束した自習日にはちゃんと来て、不満も言わず取り組むようになりました。
出された課題をクリアすれば、どれだけの成果が上がり、さらにその先にある自分のゴールがどれだけ近づいてくるのか。そのビジョンが彼にもはっきり見えたのでしょう。面談をきっかけに彼の“やる気”に火がついたのです。
二つ目のケース。
B君は、普段から大人しく、寡黙なタイプで私との会話も比較的少なかった生徒でした。
そんなB君の成績は思うように上がっておらず、自習も休みがちになっていたので、ある時私は教室で彼に声を掛け、少し話をする時間を作りました。ここ最近の成績の事、休みがちな自習の事など話をすると、B君からは意外な言葉が返ってきました。
「そもそも両親に無理やり塾に入れられた(から、やる気が起きない)」
「勉強しなくてはいけないと分かってはいるけど、学校から帰宅した後、塾に行く気になれない」
その時は私も、理屈だけではB君の心に火をつけることはできないなと悟りました。
ただその日以来、B君と挨拶を交わす際、私の方からいろいろと話題を振って、話かけることは続けていました。
すると、いつしかB君の目の輝きが違ってきたことに気がつきました。
そこで、ある時私は思い切って「もう少し自習日を増やしてみようか」と提案してみました。すると、B君から「やる」という答えが返ってきたのです。
その瞬間、彼の“やる気”に着火した音が聞こえた気がしました。
その後、三者面談でお母様からご家庭での様子を伺った際、「マイペースは相変わらずなのだけれど、以前に比べて家でも勉強をするようになりました」とうれしい報告を頂きました。
彼ら以外の、多くの生徒も“やる気”に燃えています。
入試本番に向けて、今年の冬も王子校は熱くなりそうです。