『2013夏季特訓合宿』
個別指導塾 稲門学舎で30年以上続いている伝統行事。8月12日から8月16日までの5日間「2013夏季特訓合宿」が、晴海グランドホテル(東京都中央区)にて開催されました。ここ数年、私は責任者として参加しています。4泊5日の夏季特訓合宿は、やはり何度経験しても緊張するものです。それは、プレッシャーという意味でのネガティブな感覚ではなく、自分を奮い立たせるための“良い緊張感”。日頃の教室における“室長”の立場とはまた違う、特訓合宿の“統括責任者”は、マネージメントの手法もまた、普段通りというわけにはいきません。今月号は、『室長レター』ならぬ、『統括レター』を書いてみました。
今年の合宿において、私が最重要視したことは、“非日常空間を演出する”ということでした。「日常の生活(教室)ではできないことを、合宿で達成する」そういった意識を生徒に持たせることを、期間中は常に発信し続けました。
1. 時間を守ることの大切さ
規則正しい生活はもちろん、早めに行動・準備することで生まれる心のゆとり。これは、受験を乗り切る上で必要となる、自分を厳しく律する力にもつながります。今回は総計60名以上の大所帯でしたから、自分が1分遅れることで自分以外の60人の時間を奪うことになります。つまり、それを全て合わせると1時間。時間を守ることは、まわりの方々に対して責任を持った行動を取るという意味なのです。
2. 集団生活におけるまわりの方々への配慮
ホテルの大会場を貸し切っているとは言え、そこはあくまで公共の場。他人への配慮と節度を保ったマナーが必要となります。ひとりの自分勝手な行動がまわりの方々への悪影響を与えること。そして、この合宿が自分ひとりで成り立っているのではないということを念頭に置かなければなりません。
こういった規律・ルール・制約の中で、どれだけ高いパフォーマンスを発揮できるか。受験を乗り切る上で必要不可欠となる“基本姿勢”を、私は伝えたかったのです。なぜ、毎年合宿を経験しても緊張が拭えないのかと言われれば、それは指導者である私たち教師が一番自分に厳しくなければ、何の説得力も生まれないと考えているからです。
本当に、この仕事を通じてつくづく感じることは、教える側の私たちが子どもたちからから学ぶことが多いということ。そして、人の上に立つ人間ほど謙虚でなければならないということです。毎年、合宿を終えると、人生哲学と言いますか、そういった教訓を得ることができ、その度に私は自分の生徒に対して感謝することができます。
「先生、なんでそんなに気合い入ってるの?いつもと違うね」
普段、教室で担当している小学6年生のKくんから、合宿中に聞かれました。すかさず私は答えます。
「合宿は、非日常空間だからだよ」
私が今年掲げたテーマが、近しい生徒にも伝わっているようで安心しました。