『実力とテストの結果』
後期・期末テストの成績が返却される時期になりました。王子校には、中学受験・高校受験・大学受験を目標とした生徒たちが通ってますが、今回は、ある中3男子生徒の物語を紹介させていただきます。
S君が初めて稲門学舎に来たのは今年の9月。数学で、どうしても60点の壁が越えられず評定も3。何とか内申点が確定する前に「3を4に上げたい!」という理由で入塾した生徒でした。
実際に、私が担当させていただくことになり、先ずは、前回の定期テストの答案に目を通しました。これは、どの生徒の場合にも必ずやることなのですが、例えば得点が60点だった場合、落とした40点の内、あと何点取れたのか?つまりは、60点取れた実力を元に、彼が最大限の実力を発揮した場合何点取れたのだろうか?を探るのが私の“分析”です。
S君の前回の得点は58点でした。答案をじっくり見直してみたところ、あと24点、つまり82点は取れる可能性があったと私は思いました。この得点差は比較的大きな方です。
実力的には80点以上取れるハズ。でも実際は60点の壁が越えられない。どうしてだろう…。私も生徒と一緒になって考えました。
1ヶ月間、授業を進めるうちに段々と見えてきました。S君はとても真面目な生徒なのです。その真面目さは私とのやり取りの中でも、S君の緊張感として伝わってくる時がありました。要は「焦りが生じて、いつもの実力が発揮できていない」ということが分かりました。生真面目な生徒ほど、こういうことはよくあります。私はS君に言いました「良い準備をした時ほどプレッシャーを感じるものだから、むしろ緊張する自分に自信を持ったらいいよ」と。
さて、後期・期末テストの結果はどうだったのか…?
S君はテストが返却されたその足で、塾に飛んできてくれました。答案は89点!一緒になって喜んだのは、言うまでもありません。S君は言いました。「先生、いつもより落ち着いて解けたよ!」この小さな成功体験を糧に、入試本番でも本来の実力を発揮してほしいと思います。私も2月まで全力投球です。