『40日間で300時間』
夏になると、私は合言葉のように生徒にこのハッキリした目標を提示していきます。
「夏の40日間で少なくとも300時間は勉強しようね!!」
顔馴染みの生徒からは、
「出た~。何かそれを聞くと『夏が来るんだ』って思うわ~。」と言われ、初めて私にこの目標を提示された生徒のKさんは、1日の平均時間を計算し始めます。
「え~、和田先生。それって1日平均7時間半じゃん!マジ無理。ていうか、そんなに勉強したことないよ。」
早くも諦めかけている生徒に私は言います。
「いやいや別に、毎日必ず7時間半勉強しろとは言わない。気分が乗らない日は、5時間しか出来ないかもしれない。でも、気分が乗った日は10時間だって、12時間だって机に向かえるかもしれない。つまり、具体的な数字を目標にして、常に勉強を意識した夏を過ごそうっていうことだね。」
生徒はますます不安になります。
「いや、だから7時間も勉強したことがないのに、10時間とか12時間なんて無理だって…。」
Kさんの言い分も最もです。しかし、私にはどのような生徒であっても1日に10時間を超える勉強が可能だという確信があるのです。
私は、フォトアルバムを取り出します。そこには、「2008 夏期特訓合宿」というタイトルがついています。
「先生はね、中学1年の頃、受験生の姉と一緒にテスト勉強をしていたら、いつの間にか10時間勉強していたっていう経験が何度もあるんだよ。これを皆に言うと、『勉強好きだったんだね。』って言われるけど、私は普通の中学1年生で、TVゲームも街に出るのも大好きだった。じゃあ『どうして10時間も勉強できたんだろうか?』って。それはね『そばで、一緒に勉強している人がいると、人は頑張ることが出来る。』ってこと。それを正に具体化しているのが、この合宿!!10歳になったばかりの小学生が、12時間勉強をしていく姿を見ると、勉強は環境が大切だ!って教えてくれる、更に10時間を超える勉強は不可能じゃないってことを実証してくれるんだよ。」
「へぇ~・・・・・・。」その生徒はアルバムの写真を見ながら、とっても大切な一言を言ってくれました。
「なんか、みんな勉強しているのに、楽しそうだね。」
「そうだね。実際すっごい楽しいよ。勉強が楽しくないっていうのは『わからない・できない』からであって、合宿では時間がたっぷりあるから、出来るようになるまでしっかり机に向かえるんだよ。これってありそうで、なかなか出来ない体験だよ。」
「へぇ~、そうなんだ。」
・・・この会話をした生徒は去年合宿に行き、夏期講習中の勉強時間を合わせ、見事に300時間を達成。2学期の成績は急上昇しました。
勉強はどこでも出来ます。しかし、良い精神状態を提供してくれる勉強場所が、実はとっても大切なのです。