『朗報 』


「ネモト先生に、朗報です♪」

そう言って、意気揚々と“クラス分けテスト”の算数の答案を持ってきてくれたのは、ゆりえちゃん(仮名)新・小学6年生。大手Y塾に通う、中学受験生です。先月までは、Y塾の中で上から2番目のクラスでしたが、目標を高く掲げる彼女は「一番上のクラスに上がりたい」との想いで、2月から稲門学舎の
バックアップ・コース に入塾していただきました。ですが、3月に予定されている“クラス分けテスト”まで、期間は1ヶ月しかありません。短期間で成果を上げるにはどうしたら良いか…。私は頭を悩ませながらも、辿り着いた答えはやはり“原点”でした。それは、「基本を忠実にこなす」ことです。目先の目標達成のためには、むしろ遠回りになるかもしれないけれども、長い目で見たとき、学力向上に効果的に働く方法を選択しました。

そこでまず私は、ゆりえちゃんのノートの取り方に注目しました。勉強が得意な子の書き方を観察していて、いつも感じること。それは「ルールづくりがしっかりしている」ということです。特に算数においては、ノートをどのように使うかによって、理解度も大きく変わります。理解力がないわけではない。でも点数が思うように伸びない。そういった場合、どのように勉強すれば得点アップが期待できるのか?過去の『室長レター』にも、同じようなことを書いております。

2012年6月号
-小学生の保護者必見!成績が上がるノート術-

2013年4月号
-ありがとう-

いちばん大切なことは、「図はノートに描く。そして教材には書き込まない」こと。これに尽きます。頭の中だけで考えようとせず、手を動かす。数学(算数)の世界で忠実にこなすべき“基本”とは、まさにこのことです。そういったトレーニングを重ねた結果、1ヶ月間(週1回・月4回)の授業を経て、持ってきてくれた答案が、冒頭に述べた“朗報”でした。晴れて、一番上のクラスに上がることができたゆりえちゃんの笑顔。私は、いまでも忘れられません。

それにしても「朗報」という言葉。初めは、少し驚きました。なぜなら、小学生が発する言葉としては、難しい類(たぐい)の言葉だからです。しかし、ゆりえちゃんの国語の答案を見て、納得しました。ボキャブラリーが豊富な子が、国語力に長けている何よりの証拠です。

さて、そういった成功例の一方で、ふと私の脳裏を過(よ)ぎるのは、2月の入試で第一志望に合格させてあげなれなかった生徒のことです。

3月のある日、私はたまたまつけていたテレビで、NHKの特番を観ていました。たしか「震災から3年経った、今」というようなタイトルだったかと思います。その番組で、東日本大震災で被災した私の知人が、取材を受けていました。彼のその表情が忘れられません。

「東京オリンピックのお祭り騒ぎを
ボクは、複雑な想いで観ていました。
“震災は終わったな…”と」

それが知人だったから、贔屓(ひいき)目で観てしまったのかもしれません。ですが、彼の言葉を聞いて、私も自分自身の仕事に置き換えてみました、合格は嬉しいものです。ですが、手放しで喜べない状況も考慮しなければならないと。

何事も、常に自分の足元を振り返り見つつ、自分自身が“環境”を作り出すことの責任を忘れてはならない、と。改めて身が引き締まる想いがしました。



 

      

 

 

無料体験のお申込み 電話で問い合わせ