『話を聞くことは難しい』
模試の結果が振るわなかった生徒に、『できなかった問題はあなたの伸び代だ』という話をよくします。ここでの「できなかった問題」とは、普段の授業ではできた問題のことを指します。
普段できていたことが、試験になるとなぜできなくなるのでしょうか。
問題を解くためには問題文を読まないといけないのですが、人は往々にしてこの「問題文を読む」ことをお座なりにしがちです。
これもよく生徒に話していることなのですが、『一度考えて分からなかったら、もう一度問題文を読みなさい』 これはとても大事なので何回でも話します。
試験は「問題作成者との対話」という見方をすれば、問題文とはすなわち対話者からの質問です。単語や公式を憶えたり、計算速度が速くなったりするのと試験で問題を解くことは別のことです。知識はあるのに問題が解けなかったとすれば、それは他人の話をよく聞いていないために起こることなのです。相手が本当に聞きたいことをちゃんと聞いているか。試験はそれを図るためのものでもあるのです。そのことに気付かなければ、後から解き直しをしたとき、解説を読んでわかったつもりになっても、次の問題では質問の仕方を変えてくるので、また同じように間違えるという未来が待っていることでしょう。
他人の話をちゃんと聞くことは思っている以上に難しいです。聞いたつもりになっていることがままあります。これは私にも言えることなのですが、話の内容を自分にとって都合のいい形に頭の中で変形させてしまう。逆に都合が悪いこと、つつかれたくないことには耳や目をふさいでしまいがち。思い込みを排除し、話している相手に対し真摯に向き合う。聞くことに集中しないと「話を聞いた」とはいえません。
余談ですが、人は新しいことを始める時こそ、良く話を聞いているものです。先入観の無い真っ白なところからスタートするので、話を聞かないと動けないのですね。私の場合、先月始めたキックボクシングの練習をする際は、トレーナーの話をよく聞いております。
成績が伸び悩んでいる場合は、初心に帰って「話を聞く」ことを意識して勉強してみてください。きっと壁を突破するための秘訣が聞こえてくるはずです。