『机上の戦場』
皆様こんにちは!
「気温の寒暖差で風邪をひいてしまった」というお話をよくいただきます。
また夏の疲れが出てくる時期でもあります。頑張りたい秋だからこそ、休息もバランスよくとっていきましょう。
実はつい先日、私も受験生として試験を受けてきました。
バスに乗って試験会場に行き、見慣れない会場の中を歩き、受験番号の紙が置いてある席に着きます。大勢いるのに、約束されているかのように誰もしゃべりません。
皆が一様に、机に広げられた参考書や会場前で配られた予想問題を見ています。
「私はこの人達に勝てるのだろうか?」
そんな思いで体温が上がってくるのを感じます。
「この会場の誰よりも勉強してきたと胸張って言えるのか?いや言えない。
くそ、あの日、もっと勉強すればよかった。」
そんな気持ちで付箋が張り巡らされた参考書を広げます。
優先順位で色づけされた付箋。
「平成○年に出題」、「○○Pを確認する」などの自分の殴り書きが、自分を追い立てるようであり、応援するようでもあり、その字の汚さに笑えて癒されたりもしました。
「そうだ、自分は十分ではないかもしれないが、勉強してきたのだ。少なくとも、自分が勉強してきて、大事だと思ったところだけでも、今、もう一度確認して、それだけでもしっかり試験で発揮しよう。」
気持ちを切り替えて、付箋のページを確認していきました。
試験監督官からの説明が始まり、緊張感が高まる中、考えたのは生徒達のことでした。
稲門学舎の生徒達も、こうやって闘っているんだ、私も負けられない。
試験が始まります。
最初の1問目、選びづらい問題でした。
生徒には、「わからない問題は飛ばすんだ!」と言っておきながら、解きたい欲求に後ろ髪ひかれて身動きできずに2分使いました。
2問目、自信を持って選べて、少し落ち着きました。
それで1問目を捨てる勇気が持てました。
ところが3問目、また難しい問題が来ました。1問目のこともあり、逃げたくない気持ちが自分を石のように固まらせます。結局、最初の3問で8分近く使ってしまうのです。
長い文章の中からカギになる記述を見つけ、選択肢を削っていき、答えを選びます。記述されている数字と記憶の数字が一致している不安になり、その数字が書かれていた参考書のページの視覚記憶を思い出そうとするのですが、自分の記憶を信じきることが出来ず、過去の自分の怠慢を恨んだりもします。
次から次へと湧いてくる感情の嵐の中で、全ての問題を解き終わったのは3分前で、後はマークを見直すだけで精いっぱいでした。
試験会場からの帰り道は、感情を整理したくてバスには乗らず15分ほど歩きました。
帰り道の信号待ちで不安だった数字を、参考書を広げて確認して、正解していたことにほっとしながら、信号を1回見送ってしまうこともありました。
自己採点は出来ますが、本当の結果は1ヶ月以上待たされます。
その間、ネットの情報を読み漁ることでしょう。
そうです。これが受験生のリアルなのです。
真剣に向き合えば向き合うほど、周囲から見れば滑稽に見えるかもしれませんが、本当に1問1問に一喜一憂するのです。
人が成長する上で、避けては通れない壁、学力試験。
今回の経験を生かして、より一層生徒達の立場に立ち、勇気を与えられる会話をしていきたいと思います。