『不安を解消するためのコミュニケーション』
受験が終了し、受験直前期の熱気も冷めつつあります。卒業生が抜け、その分、新入生が入り、塾生の約3分の1が入れ替わります。そのため教室内は初々しい雰囲気が漂い、まだ入塾して間もない生徒たちは授業や自習で教室に来るのもおっかなびっくりとした様子です。1年以上通っている“ベテラン”の生徒もわれ関せずとマイペースに自習をしていますが、先月までともに勉強に励んでいた先輩たちがいなくなったせいもあるのか、どこかさびしさを感じているようです。
そんな時、私の仕事は彼らと積極的にコミュニケーションを取ることが中心となります。彼らの心の中のモヤモヤを解消するためには積極的に言葉を交わすことが大切です。まず、良好な意思疎通が図れる関係を構築する、分かりやすく言えば“仲良くなる”ことです。仲良くなって顔見知りが増えれば、安心して塾に通える習慣が生まれると私は考えます。私だけではなく、担任教師や教務スタッフとたくさん会話し、塾を自分の場所だと認識してもらいます。
とはいえ、友だち同士のような会話を繰り広げるという訳ではありません。
憶えたての英文法や英単語を楽しそうに説明してくれる新中学1年生は、新しく覚えた知識を誰かに披露したくてたまりません。それを私たちがたくさん聞きます。難関校受験に向けて毎日自習に来る新中学3年生とは、志望校が見えているので、合格するためにはどのような勉強をすればいいのかという“作戦会議”をします。期末テストが終了し、勉強から部活にシフトする生徒もいます。そんな生徒たちの「部活と勉強の両立が大変だ!」という愚痴を聞きます。また、二駅分ほど遠いところから王子校まで通い始める生徒もいます。不慣れな土地で勉強するわけですから、まずは私たちとの会話を心のよりどころにしてもらえるよう心配りをします。
実は私が一通り生徒に声をかける理由がもう一つあります。
それは、「受験生が卒業してさびしい私が、誰よりも何よりも生徒たちとお話ししたい」ということですね。