『「読み・書き・そろばん」は、勉強を楽しくする?』
昔から、「読み・書き・そろばん」は学習の基本と言われてきました。
遡ること江戸時代、寺子屋と呼ばれる民間教育施設で、町人を中心に5~6歳から10代までの生徒を対象に、読み方・習字・算数の基本の習得に始まり、人物・地理・歴史、その他、実生活に必要とされる知識や技術の教育がなされました。
当時の日本の識字率と就学率は、世界でもトップクラスと言われたほどですから、教育に対する情熱はその頃から引き継がれているものなのでしょう。
さて、寺子屋で実施されていた「読み・書き・そろばん」ですが、これは現代の学習の基本に通じていることは言うまでもありません。
「読み」…書かれている文章を、正しく読めるようにする。
「書き」…漢字やことばを覚えて、正しく書けるようにする。
「そろばん」…ルールを守って、正しい答えが出せるようにする。
簡単に言えば、こういうことです。
これを「受験指導」的に言い方を変えると、
「読み」…文章の筋道を正しくなぞり、筆者の言いたいことや、物語の人物の心情を正確に読み取る。(読解力)
「書き」…覚えた漢字や言葉を駆使して、求められた解答を正しく記入する。(解答作成力)または、自分の想いや考えを、相手に正しく伝わるよう表現する。(表現力)
「そろばん」…与えられた条件に従い、順序だてて計算をし、正解を導き出す。(計算力)
となるでしょう。
さらに発展させて「大人向け」に言い換えると、
「読み」…相手の気持ちや立場を読み取り、そこから自分がどのように行動すればよいのかを考える。(コミュニケーション能力)
「書き」…自分の考えが相手にできるだけ正確に伝わるよう、わかりやすく簡潔に表現し、そこから新たなビジョンや関係性を作り出す。(プレゼンテーション能力)
「そろばん」…数字という客観的なものさしを使うことで、あいまいに見えていた事柄や事象をはっきりとさせ、そこから目の前の問題への解決策を考える。(問題解決能力)
と言うこともできるでしょう。
つまり、学校で習う勉強も、受験勉強も、そして社会に出てから求められる能力も、そのすべてが「読み・書き・そろばん」が基本になっているのです。
さらに大切なのは、「読み・書き・そろばん」を反復し、継続するということです。
「継続は力なり」
続ければ、必ず力がつきます。
でも、どうすれば子供たちにそれを続けさせることができるのか?
これが、なかなかむずかしいのです。
そこでポイントの一つとなるのが、「発見」です。
「読み・書き・そろばん」の基本は、反復練習です。
「反復」それ自体は、面白みもなければ、楽しくもありません。
子供たちが勉強を通して、楽しく感じられるのは、そこに新たな「発見」があったときです。
「今までわからなかったことが、わかるようになってきた」
「今までできなかったことが、できるようになってきた」
反復練習を行うことで、必ずそのような「発見」に出会います。そこに学ぶ「楽しみ」があります。「楽しみ」を感じられた子供たちは、より大きな「楽しみ」を求めてさらに繰り返し練習をします。そして、やがて大きな成果につながり、自信をもたらすのです。
反復練習を基本とする「読み・書き・そろばん」は、子供たちに学ぶ楽しさに気づかせる「発見」をもたらす古からの学習方法なのです。
子供たちに、いかにその「発見」までたどり着かせるか?
私たちが子供たちを教えていく上で、最も大切にしている観点がそれなのです。