『私が受験生だった頃と今では、合格発表の方法もすっかり様変わり…。』
私の入試のころは、2月の寒空の中、合格発表の日、学校の敷地内に臨時に設けられた木製の掲示板に白い布が貼られ、その前に発表を見に来た受験生たちがずらっと横に並びます。発表時刻になると入試課の先生方がやって来て、ひものついた白い布を一斉にはがすと、目を凝らしながら、自分の受験番号を探して人ごみを、前に前に進んでいったものでした。合否の結果が分かると、すぐに学校の外に出て、事前に調べてあった公衆電話に向かって走り、テレホンカードを取り出し、家族と塾の先生に報告をしたものでした。
あれから数十年…
2月も後半、高田馬場校でも、多くの受験生たちが試験に臨み、続々と入試結果が飛び込んできています。室長の私を初め、教務のスタッフはみな、電話が鳴るたびにドキドキしながら報告を受けていました。2月上旬に中学受験生たちの合格発表が、2月中旬には私立高校の合格発表がありました。ここまでは、ひとりひとりの努力が見事に実り、みな希望の学校への合格が決まりました。私たちスタッフは、安堵の表情を浮かべると同時に、まだこれから受験をむかえる受験生たちをしっかり送り出そうという気持ちを新たにしていました。
そんなある日、その日が志望校の発表という高校3年生が教室に来ていました。その生徒が言うには、15時の合格発表を教室で見るというのです。理由は、頑張ってきた塾の教室の中で、私たちスタッフと一緒に見たいというものでした。
発表の時間が近づいて来ると、その生徒は私たちの前に来てポケットからスマートフォンを取り出しました。受験した大学の入試サイトにログインし始めたのです。ちょうど私が数十年前に白い布がはがされるのを背伸びして待っていたあの時と同じことが、目の前で起ころうとしています。私が掲示板の前に集中した人ごみをかき分けていたのと同様に、アクセスが集中してスムーズなログインができない状態にその生徒もちょっと戸惑いながら、何回目かのトライでやっとログインができました。
もうここまでくればあとはわずかです。自分の受験番号とパスワードをスマートフォンの画面に入力し始めました。そして「送信ボタン」を元気よく押しました。ボタンを押して1秒もしないうちにその生徒は私に画面を見せてくれました。「先生見て!」。
そこには、ピンクのウサギが踊って飛び跳ねる画像と共に、「合格おめでとう!」というメッセージが画面いっぱいに表示されていました。そして次の瞬間、その生徒の目から、たくさんの涙があふれていました。
私のころとは本当に様変わりしました。時代は進むものです。しかし、生徒たちが必死に努力し、自分の夢をかなえるために入試に立ち向かう姿は今も昔も変わってはいません。これまで自分がやってきたことを信じ、自信を持って入試に望んでもらいたいと思っています。最後まであきらめずに頑張った人には、必ず成果となって現れます。
いよいよ受験も大詰めです。残すは都立の高校入試と一部の大学入試になってきました。自分の力を信じて最後まで頑張ってきてください。何としても合格を勝ち取りましょう!そして吉報をお待ちしています。
がんばれ!受験生!