『適切なペースとは』
みなさま、こんにちは。
例年センター試験の頃になると、日本列島には寒波が訪れ、関東平野でも降雪が見受けられる年も珍しくありません。今年の1月14日、15日は、東京では雪こそ降りませんでしたが、寒さは一段と厳しくなりました。さらに今年は年が明けてインフルエンザが流行しています。手洗い、うがい、乾燥対策をして、ウイルスに負けない身体づくりを目指しましょう。
さて、今回のテーマは「勉強のペース」についてです。
ある目標を定め、その目標に向けて取り組み始めた時、そこにはペースというものが生まれます。ここでいうペースとは、「勉強の進め方の速さ」のことです。
仮に「今年6月に実施される英検で、2級に合格するぞ!」という目標を立てたとします。その目標達成のために、「英検のテキストを一日1ページ進める」とか「一ヶ月間でテキストを2周行う」といった勉強の進め方の速さ、これが勉強のペースです。
では、そのペースの「適切な量」とはどのように計ればよいのでしょう?
例えば、稲門学舎の教師たちは、担当生徒の学習管理を行っています。言い換えれば、稲門学舎に通う生徒たちは、教師からの指示に沿って日々の学習を進めることになります。そこで、授業の進度にあわせ、教師たちが出す宿題や課題が生徒たちの学習ペースとなるわけですが、その学習ペースは何を基に作られているのでしょうか?
一つは、担当生徒が達成したいと考えている目標と、そこに到達する上で必要不可欠な学習内容を見極め、それに適した教材を用いて段階的に学習を進めていく、という視点。
もう一つは、生徒が立てた目標と、生徒に与えられた(残された)時間とを照らし合わせ、どのくらいのスピードで進める必要があるかという視点です。
その2つの視点から、教師たちは担当している生徒に毎回宿題を出し、課題を与え、次の授業でチェックし、また次の課題を与える、という流れで指導を進めます。
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昔からよく、「ペース配分」に注意せよ、という言葉を耳にします。
「ペース配分」とは、時にコントロールが利かなくなる可能性を秘めた要注意事項なのです。
学生時代、5kmのマラソン大会を走った時の思い出です。
スタートから、勢いに任せ飛ばし過ぎた私は、最初の1kmくらいまでは先頭集団に入っていたのですが、2kmを過ぎたあたりから徐々に息が続かなくなり、3kmの時点では後続集団に追いつかれ、4kmの頃にはわき腹が痛み出し、結局真ん中くらいの順位でゴール、という結果に終わりました。
走り始める前は、身体は軽く感じ、調子も良かったため目標タイムは余裕でクリアできるだろうと高をくくっていたのですが、5km というコースに対するペース配分をしっかりと準備していなかったために、ペースが崩れ、思うように力が発揮できなかったという苦い経験でした。
この教訓は、マラソンに限らず勉強についても当てはまります。
先日、ある教師から担当している生徒の事で相談がありました。
担当生徒のAさんは、数学の問題を解くスピードが速く、テキストが予定以上に早めに終わりそうだという相談でした。
確かに、順調に先取りを進めているうちは良いのですが、勉強をする上ではどこかの地点で一旦立ち止まり、それまでにやってきたことを振り返る機会が必要です。なぜなら、「勉強のペース」はいつしか先に進めることが目的化してしまい、定着させるという本来の目的を見失うという落とし穴が潜んでいるからです。これまでにも、教師が立てた計画をはるかに追い抜く勢いで進めたのは良かったものの、いざテストを迎えた時にはやった内容を忘れていて、思うような点数が取れずに悔し涙を流した生徒は数知れずいました。
そんな過去の生徒たちと同じ轍を踏ませないよう、Aさんを担当している先生には、総まとめチェックを行うよう指示しました。
100m走のペースと、マラソンのペースでは、当然「速さ」も「力の入れ具合」も異なります。勉強も同じです。1週間後に控えている定期テストに向けた勉強と、1年後に控えた受験に向けた勉強とでは、その進め方も、速さも、頭の使い方も、何もかも違ってきます。
早く走る(テキストを進める)ことが目的ではなく、力をつけて本番で120%本領発揮することが目的であることをいつも忘れずに。
そのためにも、自分に合った適切な「勉強のペース」を保ちながら、これからも走り続けてください。