『一日16時間』
夏休みに入り、やる気がみなぎるみなさん、お元気でしょうか?
先日、ある高校3年生A君の進路相談をしました。保護者の方と面談をし、その後で本人と2度話をしました。生徒は偏差値60前後の大学を目指しておりましたが、夏休み前という事もあり、まだそのレベルに届いておりません。保護者様は心配され、「志望校を下げたほうが良いのではないでしょうか?」と私に相談します。しかし私はこう答えました「いいえ、今は下げないことが得策です」と。
夏休み前に志望校を下げると、勉強のモチベーションが維持できないからです。一般的な考え方ではありますが、ここに一つ、私自身の体験談を込めました。
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「私も高三の一学期はA君と同じような成績でした。科目によってはA君の方が好成績でしたよ。通っていた高校のレベルも同じくらい。しかし、私もA君と同じくらい現実味のない目標を一学期に掲げていました。そのころ、偏差値60以上の学校を目標にしていたのです。」
「高三の5月頃までは、受験に正面から向き合うか、逃げ道を探すか、のらりくらりしていた気がします。いろいろな先生からアドバイスをいただきましたが、5月頃、ふと迷いが断ち切られ、受験に正面から向き合うことが自然と選択できました」
「その後、学校がある日は毎日8時間、ない日は16時間位勉強をしました。起きる時間と寝る時間も決まっていました。当然、夏休みに学校はありませんから、一日16時間を続けました。休日?そういったものはありません」
「10月頃だったか、2日間くらい、どうしても疲れて勉強ができない日がありました。その2日間は思いきり休んで、その後はペースを戻しました。2日間を思いっきり休めたのは、集中できなさそうな私を横目で見ていた二つ年上の兄(当時大学生)に、『集中できないなら思いきり休んだらどうだ?』と声を掛けられたからです。都内の有名国立大に通っていた兄の言葉には当時の私にとっては説得力がありました」
「結果、秋頃に偏差値が60以上になっており、科目よっては20以上偏差値が上がっていました。それでも目標校までは未達でしたが、ぶれない覚悟で努力を続けて、無事に志望校に合格しました。私にとっては模試の偏差値が届いているかどうかは二の次でした。自身が決めた目標に向かって、どれだけあきらめず続けられるかが大事でした。受験を使って力を試したかったのです」
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少し長文となりましたが、私が申し上げたかったことは、
「目標に向けた強い覚悟が、最も合格を呼び寄せる」
ということです。(実体験を鮮明にお伝えするため、この場ではあえてA君にお伝えしていないエピソードも盛り込みました。)
上記のような話をした結果、彼は志望校を下げることなく、夏を乗り切る決意してくれた様子です。まだA君の結果はわかりませんが、今回の話で、どのような気持ちで皆さんに夏を過ごしてほしいか、お伝えさせていただいた所存です。