『勉強の始まり』

こんにちは。ゴールデンウィークはいかがお過ごしでしたでしょうか。

先日、勉強がつまらないと頻繁に口にする中3男子が授業中に突如口を開き「アメリカの50個の州の名前を全て覚えました」と言いました。しかしこの授業は社会ではなく数学です。さあ、これに対して教師は何と答えたでしょうか?

①「今は数学の授業です。関係のない話はやめましょう」と注意する。
②相槌を打って特にコメントせずに数学の授業を続ける。
③その他。

正解は③です。
教師は次のように言いました。「なるほど、ではノートにその州の名前を全て書いてみてください」。生徒が州の名前を書きます。45個くらいまで書けたのですが、残り5つが思い出せません。「よく覚えていますね。残りの5つは次回までに覚えておいてください」
そして、次のように続けます。

「自ら興味を持ってアメリカの地名を覚えること、それがまさに勉強です。よく勉強がつまらないと言う人が多いけれども、学校の中だけで行われることだけが勉強ではありません。遠い昔は、今の様に国語、数学、理科、社会、英語といった科目はありませんでした。例えば”社会”という科目も、数百(千)年くらい前に、君のように進んで”地名”に関心を持った人がいたことが始まりです。その方が亡くなった後は、次世代の”地名”に関心を持つ人が先代の蓄積をもとに研究を広げます。それが何代も歴史とともに積み重なって”科目”となり、現代の君の前に届きました。社会や地理だけでなく、数学や理科、音楽など全ての科目にそういった果てしないストーリーがあります。一つの物事に関心を持った人たちの数えきれない人生が、数百~数千年に亘って色々な“科目”を築きました。“科目”は偉いお役人さんが作ったのでも、学校の先生が作ったのでもありません。作ってきたのは他でもない、誰に言われる訳でもなく異国の地名に自ら進んで興味を持ち、それを覚え広めようとした、まさに君のような人達なのです」

生徒が何を感じたかはわかりませんでしたが、その後の授業で数学の問題演習に励んでいた様子でした。私としては、勉強嫌いの子が試験範囲外の分野に進んで関心を持ち、自発的に学んでそれを教師に伝えようとした場面がとても興味深く印象的でした。

中高生の皆さん、期末テストお疲れ様でした。また、これから期末テストの人は頑張って下さい。

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