『再会』

ゴールデンウィークの貴重なお休みの最中、ホームページをご覧くださいまして誠にありがとうございます。今回はある生徒との「再会」に纏わるお話です。

先日、以前ご縁のあった、とある生徒が教室に挨拶に来られました。私(中村)は、2014年3月まで巣鴨校に勤務しており、その時に担当をしていた生徒です。彼は当時高校3年で、私が巣鴨校から高田馬場校へ移動する春に高校を卒業しました。当時、彼は大学から合格をもらっていましたが、さらに一年勉強して高みへチャレンジするというその決意を聞いた私は、彼の健闘を祈るとともに、「いつか様子をうかがいに電話をするよ」と伝えてお別れをしました。ところが、その後新たな環境の中で日々の忙しさに追われ、中々電話をすることが出来ません。「彼に電話をすると言ったけれども、出来ないままになっているな…」と頭の片隅にはあるものの、また冬(受験シーズン)が迫り、なお連絡がなかなかできずに、気が付けば一年が過ぎ受験シーズンも終了していました。教室の生徒たちの合格結果が次々に舞い込んでくる中で、彼のことはずっと私の中で気に掛かっていました。

受験もひと段落したある日、教室の電話が鳴ります。彼でした。
私はその時席を外しており、教室のスタッフが電話を受けました。「志望校に合格した」との事でした。その話を聞いた私は、すぐに折り返しの電話をし、彼と保護者の方に失礼を詫びた上でお祝いの言葉を申し上げ、数日後に高田馬場校まで足を運んでいただいた、といった次第です。

人は自分が施した仕事については、すぐに目に見える成果を求めてしまいがちです。ただ、すぐに成果が伴わなくとも、時間が経った後に自分のもとへ帰ってくることがあります。例えば、畑に種を蒔く前に土を耕すのは必要な行為ですが、土はいくら耕しても、そこから芽が出てくることはありません。私と彼の関係に喩えるなら、彼とかかわっていたのが土を耕す時期で、そこから彼は環境を変えて芽を出しました。(勝手な解釈を許してもらえるならば)彼のその後の飛躍は、以前に土を耕した時期があってのものだったとも思えてなりません。

スピードや即時成果が求められる時勢にあっても、人の成長メカニズムは以前と変わらないと感じます。時代の変化に対応しつつも、「教育の本質」を見失わないようにしたいと思わせられる出来事でした。

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