『思った以上にたくましくなっていた』
最近、教室内の受験生たちから「私、勉強しなくちゃいけない」というつぶやきをよく聞きます。その言葉を耳にしたとき、「塾に来ているのだし、受験生であれば勉強するのは当たり前じゃないか」と思ったのですが、どうやらそこにはある理由が隠れていたのです。
受験生たちの多くは、本当に志望校に合格できるのかと不安に陥ります。王子校にも、中学校の進路相談で志望校に合格することは無理だと断言された生徒や、模試で厳しい合格判定を受けた生徒、勉強しなくてはいけないのに文化祭など学校行事に追われている生徒など、精神的に追い詰められている生徒が少なくありません。そんな彼らが、自習室で黙々と勉強している。そして、休憩時間に「勉強するから」とわざわざ私のところまで来て宣言する。追い詰められて無理やり自己暗示でもかけているのではないか、焦って空回りしているのではないか、そんな不安を感じた私は、一人の生徒に声をかけてみました。
私「最近・・・やる気になっているね」
生徒「・・・先生と話すと勉強しろって言うでしょ。だから、勉強してんの!」
「ほぉ!たくましい」これが私の率直な感想でした。
「自習をしにおいで!」
私をはじめ、稲門学舎の講師及びスタッフ陣は、常日頃、生徒たちに自習を勧めます。同時に、課題をたくさん用意します。結果、生徒たちとのコミュニケーションのほとんどは『学習量を増やす』ことに費やされます。そんなコミュニケーションの積み重ねが、「勉強しなくちゃいけない」という、生徒の“たくましい”つぶやきを生んでいたのでした。
また、模試の結果からも、生徒たちの思わぬたくましさを感じたこともあります。
合格判定が上がった生徒は「先生、すごいでしょ。だから褒めて!」とおねだりするのですが、反対に思うように成績が伸びず、涙を流した生徒の中には、その翌々日には「勉強するから、もっと宿題を出して!」と自分から志願した生徒もいました。
入試本番が日に日に近づいている中で、成長著しい彼らの背中をもっと後押ししなくては、と改めて感じました。